YUJは腸を整えるということを重要視しています。今回の記事ではなぜ腸を整えることがいいのか、腸と脳の関係、腸と疲労の関係、腸と免疫の関係についてYUJとしての見解を踏まえながら解説していきます。
1.脳腸相関とは?
脳腸相関とは、腸と脳が相互に影響を及ぼし合う生理的なネットワークを指します。この関係性は、自律神経系・内分泌系・免疫系を介して密接に結びついており、腸内細菌も重要な役割を果たします。
特に、セロトニンは腸と脳の相互作用において鍵となる神経伝達物質であり、自律神経の調整とも深く関わっています。
①セロトニンと脳腸相関
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分の安定、ストレス耐性、消化機能の調節などに関与しています。
ー腸で作られるセロトニンー
実は体内のセロトニンの約90%は腸で作られることが知られています。腸の蠕動運動や消化液分泌を調整します。
腸内細菌はセロトニン合成にも関与しており、特定の腸内細菌がトリプトファンからセロトニン合成を促進することが報告されています。
ー脳内のセロトニンと気分の関係ー
一方で、脳内のセロトニンは、うつ病や不安障害の発症と関連しており、セロトニンの不足は精神的な健康に影響を与えます。
腸内のセロトニンが直接脳に移行するわけではありませんが、迷走神経(副交感神経といえばの神経)を介して脳へシグナルを伝達し、セロトニンの生成や神経活動に影響を与えることが示唆されています。
②自律神経と腸の関係
自律神経は、脳腸相関を媒介する主要な経路の一つです。
ー迷走神経と腸の相互作用ー
自律神経には交感神経(戦う・逃げる)と副交感神経(リラックス)がありますが、腸の機能には特に副交感神経の一部である迷走神経が大きく関与しています。
• 迷走神経を介した信号伝達
腸内の状態(腸内細菌組成や栄養状態)は、迷走神経を通じて脳に伝わります。例えば、腸内環境が悪化すると、迷走神経を通じてストレス応答が増し、うつ症状や不安のリスクが高まることが報告されています。
ーストレスと腸内環境ー
ストレスは交感神経を活性化し、腸の動きを抑制します。その結果、腸内細菌のバランスが崩れ、腸の炎症が増加し、セロトニン産生が低下します。
特に、慢性的なストレスは腸内細菌のバランスを乱し、リーキーガット(腸漏れ)を引き起こしやすくなることが研究によって示唆されています。
③脳と腸はつながっている
脳腸相関は、セロトニンや自律神経を介して、腸と脳が密接に結びついていることを示す概念です。
• 腸内のセロトニンが腸の機能を調整し、脳のセロトニン産生にも影響を与える。
• 迷走神経を介して腸内環境が脳に影響し、ストレスやうつ病と関連する。
• 腸内環境を整えることで、精神的な健康を向上させることができる。
腸を健康に保つことで、脳のパフォーマンスやメンタルヘルスに良い影響を及ぼすことがわかっていただけたのではないかと思います。このような腸→脳への連絡もありますし、脳→腸へ影響が出るというケースもあります。ストレスを感じたり、嫌なことがあったときにおなかが痛くなったりすることは多くの人が経験しているとおもいます。
まとめ
・腸と脳は相互に影響を及ぼし合う(脳腸相関)
・腸内環境が脳内でのセロトニン合成に関与して気分やストレス耐性に関与する
・自律神経(特に迷走神経)を介して腸内環境が脳の健康に影響を与える
腸を健康に保つことで、ストレスやメンタルヘルスの改善が期待できます。脳と腸のつながりを意識し、食事や生活習慣を見直すことは大切です。
2.腸内環境と疲労
腸内環境と疲労は密接に関係しており、近年の研究では腸内細菌が慢性疲労、エネルギー代謝、炎症、ストレス応答に影響を与えることが明らかになっています。
特に、腸内細菌のバランス、自律神経、腸管バリア、腸内炎症が疲労感に大きく関与していると考えられています。
①腸内環境と慢性疲労症候群(CFS)
慢性疲労症候群とは、6ヶ月以上続く強い疲労感と、それに伴う集中力の低下、筋肉痛、睡眠障害などを特徴とする疾患です近年の研究では、慢性疲労症候群患者の腸内細菌バランスが乱れ、腸内の炎症が高まっていることが報告されています。
ーCFS患者の腸内フローラの特徴ー
• CFS患者は腸内の抗炎症性のビフィズス菌やフェーカリバクテリウムが減少し、炎症を促進する腸内細菌が増加している
• CFS患者の腸内細菌は、短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する能力が低下しており、腸の炎症が慢性化している
ー腸内細菌と免疫・炎症の関係ー
CFS患者では、腸の透過性が上昇(リーキーガット)し、腸内細菌の毒素(LPS)が血中に漏れ出し、全身性の炎症(慢性炎症)が引き起こされる
• LPSは免疫系を刺激し、炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6, IL-1βなど)の分泌を促進。
→ 腸内細菌のバランスの乱れが、慢性疲労を引き起こす大きな要因となる。
②腸内細菌とエネルギー代謝の関係
疲労感はエネルギー代謝の低下と関連しています。腸内細菌は、短鎖脂肪酸(SCFA)やビタミンB群を産生し、ミトコンドリアのエネルギー生成をサポートする役割を持っています。
ー短鎖脂肪酸(SCFA)とエネルギー産生ー
短鎖脂肪酸は、腸内細菌が食物繊維を発酵させることで産生され、次のようなエネルギー代謝への効果を持ちます
• SCFAは肝臓や筋肉でエネルギーとして利用される。
• SCFAはミトコンドリアのATP(身体のエネルギー)産生を増加させる。
• 腸からSCFAが吸収されると血糖コントロールが改善し、疲労感を軽減する。
→ 腸内細菌が生み出すSCFAが、エネルギー供給と疲労回復に重要な役割を果たす。
ー腸内細菌とビタミンB群の合成ー
腸内細菌は、ビタミンB群(B1, B2, B6, B12, 葉酸など)を産生し、エネルギー代謝をサポートします。
• ビタミンB群は、ATPを産生するシステムに貢献するため、不足するとエネルギー産生が低下し、慢性疲労につながります
→ 腸内細菌のバランスが崩れると、ビタミンB群の合成が低下し、疲労感が増加する。
まとめ
- 腸内細菌のバランスが崩れると、疲労感が増し、慢性疲労症候群(CFS)と関連する。
- 腸内細菌はエネルギー代謝に関与し、短鎖脂肪酸やビタミンB群を供給する。
- 腸の炎症を抑えることで、疲労を軽減できる可能性がある。
腸の健康を意識することで、慢性的な疲労の改善につながります。
3.腸と免疫
腸は「第二の脳」と呼ばれるだけでなく、人体最大の免疫器官でもあります。腸には体内の免疫細胞の約70%が集まっており、腸内細菌とともに免疫システムの調整に重要な役割を果たしています。
ここでは、腸と免疫の関係を3つの主要なトピックに分けて詳しく解説します。
①腸管免疫と「腸管関連リンパ組織(GALT)」
腸には、外部からの異物(ウイルス、細菌、食べ物の成分など)が常に入ってきます。そのため、腸内には免疫システムの最前線である「腸関連リンパ組織(GALT: Gut-Associated Lymphoid Tissue)」が発達しています。
ー腸管免疫の主な構造ー
- パイエル板:腸の粘膜にあるリンパ組織で、病原体を認識し、免疫応答を開始する。
- M細胞:腸管の粘膜で異物を取り込み、免疫細胞に提示する役割を持つ。
- IgA抗体:眼や鼻、喉、消化管などの粘膜に存在する免疫グロブリンで、病原体や毒素から感染症を防ぐ
このシステムが正常に機能することで、病原菌やウイルスの感染を防ぎ、過剰な免疫反応(アレルギーや自己免疫疾患)を抑制するといわれています。
しかし、腸内細菌のバランスが崩れると、免疫の過剰反応(炎症性腸疾患、自己免疫疾患)や免疫力の低下(感染症リスクの増加)につながります。
②腸内細菌と免疫の相互作用
腸内細菌は免疫システムの調整役として機能し、特定の細菌が免疫細胞を刺激して適切な免疫を促します。
腸内細菌の免疫への影響
- 善玉菌(プロバイオティクス):ビフィズス菌、乳酸菌などは抗炎症作用を持ち、腸管バリアを強化する。
- 短鎖脂肪酸(SCFA):腸内細菌が食物繊維を発酵して作るSCFA制御性T細胞(Treg)を活性化し、炎症を抑える。
- 腸内細菌の多様性:腸内細菌の種類が多いほど、病原菌の侵入を防ぎ、免疫系が適切に働く。
腸内細菌のバランスが崩れたり、多様性が失われると、慢性的な炎症が起こり、アレルギーや自己免疫疾患のリスクが増加します。
③腸内バリアと「リーキーガット症候群」
腸の内壁には、異物の侵入を防ぐ「腸内バリア」が存在します。しかし、腸内細菌のバランスが乱れると、腸の透過性が上昇し、腸漏れ「リーキーガット」が発生します。これによって病原菌や異物が体内に侵入してしまい、炎症や病気の原因になります。
ーリーキーガットのメカニズムー
- 腸の透過性亢進:腸管がすかすかになってしまって腸内の異物(未消化のタンパク質、細菌の毒素LPSなど)が血流に漏れ出す。
- 慢性炎症の発生:免疫システムが異物を敵とみなし、全身性の炎症を引き起こす。
- 病気との関連:リーキーガットは炎症性腸疾患(IBD)、アレルギー、慢性疲労、自己免疫疾患と関連がある。
リーキーガットを防ぐためには、腸内細菌のバランスを整え、腸内バリアを強化する食品(発酵食品、食物繊維、オメガ3脂肪酸など)を摂取することが重要です。
まとめ
- 腸管免疫(GALT):腸は体の最大の免疫器官であり、パイエル板やIgA抗体が病原体から体を守る。
- 腸内細菌と免疫調整:腸内細菌が免疫細胞を刺激し、炎症を抑制したり、免疫力を整えたりする。
- 腸内バリアとリーキーガット:腸の透過性が上昇すると、異物が血中に漏れ、慢性炎症や病気、自己免疫疾患のリスクが高まる。
腸内環境を整えることが、免疫力の向上や慢性炎症の予防につながることが明らかになっています。
おわりに
いかがでしたでしょうか。少し難しい話があったかなとも思うのですが腸がいかに大事かわかっていただけたでしょうか。以上の理由からYUJが腸内環境や、腸活が心身の健康やQOL向上に欠かせない要素であると考えています。
具体的な方法などはまた別記事で紹介していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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